地域日本語教育コーディネーターってどんな仕事内容?日本語教師経験がなくてもなれる?~地域の日本語教育を推進~

日本語教師
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こんにちは。日本語教師のみやざきです。

先日、文化庁の委託事業である「地域日本語教育コーディネーター」を拝命しました。

わが地区は事業開始が遅れておりますが、活動が今からとても楽しみです。

 

おめでとうございます!でも地域日本語教育コーディネーターってどんなお仕事なんですか?

 

今回は、地域日本語教育コーディネーターになる方法、具体的な業務内容や待遇、コーディネーターになるメリットなどをご紹介します。

 

 

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地域日本語教育実践プログラムと地域日本語教育コーディネーター

文化庁の地域日本語教育実践プログラムには、プログラム(A)プログラム(B)があります。

1.地域日本語教育実践プログラム(A)
[1]日本語教育の実施(60時間以上)
[2]日本語教育を行う人材の養成・研修の実施(30時間以上)
[3]日本語教育のための学習教材の作成(日本語教育の想定が60時間以上)

2.地域日本語教育実践プログラム(B)
〈1〉関係機関等の連携・協力を推進する検討体制の整備
〈2〉地方公共団体や各種団体等多様な機関と連携・協力し実施する,外国人が参加したくなる又は参加しやすいテーマに関する日本語教育の実施(60時間以上)
〈3〉取組の成果の発信及び住民の日本語教育への理解の促進
〈4〉上記にかかる人材の育成
〈5〉その他,これらに類するもので,当該地域における「生活者としての外国人」に対する日本語教育の体制整備を推進する取組の実施

出典:文化庁HP 「生活者としての外国人」のための日本語教育事業
地域日本語教育実践プログラム より http://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/seikatsusha/

今回は、私の担当する「プログラムB」についてお話します。

上記をみると、事業内容は多岐にわたるように見えますが、必須実施項目は3つです。

 

  • 総合調整会議の設置
  • 総括コーディネーター、地域日本語教育コーディネーターの配置
  • 空白地域(日本語教育未実施)での地域日本語教育の実施

この中で地域日本語教育コーディネーターが行うべきことは「地域日本語教育の実施」です。

「総括コーディネーター」とは、県の国際担当職員等から1名が選ばれます。

この総括コーディネーターは、地域日本語教育コーディネーターの管理者です

 

地域日本語教育コーディネーターは、総括コーディネーターに適宜相談ができます。安心ですね!

 

地域日本語教育コーディネーターのお仕事って?

地域日本語教育コーディネーターは、各都道府県単位で決定されます。前述の「プログラムB」の場合、業務にかかわる日数は週2日程度とされており、他の仕事との両立も可能です。

地域日本語教育コーディネーターは年度契約です。よって、次年度は事業を他の誰かに引き継ぐことになります(同じ人が再任される可能性もあります)。

基本的な業務は以下の通りです。

 

担当地域の国際担当課や諸団体等に聞き取り調査をする

担当するエリアの各自治体に設置されている国際担当課や商工団体、技能実習生管理団体、外国人を雇用している企業などに、外国人住民の状況の聞き取りを行います。

この諸団体のリストアップや事前のアポイントは、原則として県の担当者および統括コーディネーターが行います

この聞き取り調査と並行して、日本語教育のニーズ調査も行います。これは後述する日本語講座の開講にあたり、開催日時、場所、学習レベルを検討する際に必要な情報となります。

なお、聞き取りに際しての通信費・交通費は実費です(別途調査報酬はあります)。

地域別意見交換会の開催準備をとりまとめる

意見交換会では、地域日本語教育コーディネーターが開催場所や日時を調整します。

前述した聞き取り調査で訪問した地域の関係者や有識者に集まってもらい、以下のことを話し合います。

  • 状況調査の概況(聞き取り調査報告)
  • 今後の日本語教育の展開に係る検討
  • 今後の活動への協力依頼

 

意見交換会は、地域における日本語教育実施への理解・協力を求め、地域や外国人の日本語学習におけるニーズを把握するためのものです。

この会議で地域の日本語教育のニーズをとりまとめ、地域の日本語講座開講に向けて実現可能なプランを練ります。

任期中に日本語講座を開講する

聞き取り調査や地域別意見交換会で得た情報をもとに、日本語講座を新設します。

具体的な業務としては、会場の確保や講師との調整、受講生募集、その他とりまとめ等です。以下の点を踏まえ、過去に実績のない日本語講座を新たに開講することが求められています。

  • 外国人住民の状況
  • 外国人が参加しやすい場所や曜日、時間帯
  • 団体や企業等で提供可能な場所はあるか
  • その地域で最も必要とされている日本語教育のレベル
  • 日本語講師が確保可能か

 

その地域で初めての日本語講座を創設するのがメインのお仕事です!

 

地域日本語教育コーディネーターになるには?

では、地域日本語教育コーディネーターになるには、どうすればいいのでしょうか。

まずは、活動を希望する都道府県(居住地)が前述の地域日本語教育実践プログラムに採択されているかどうかを確認する必要があります。

2019年度採択団体一覧(第一次募集) はこちら ※文化庁ホームページ

 

都道府県の国際交流担当などを訪ねてみる

地域日本語教育コーディネーター(地域日本語教育実践プログラム)は国の事業であるため、都道府県の関係部署が取りまとめを行っています。

まずは都道府県の総合窓口に問い合わせ、国際担当課や日本語教育担当の部署および担当者につないでもらい、話を聞いてみましょう。

できれば名刺などを持参して、直接担当者に会って話を聞いたほうがいいでしょう。

話が通じやすいのはもちろん、担当者にインパクトを残すことができます。

日本語教師じゃなくてもコーディネーターになれる

日本語教師の経験がなくても地域日本語教育コーディネーターになることができます

私と同じくコーディネーターに任命された方はJICAによる海外派遣経験者でしたが、日本語教師の経験はありませんでした。

地域の日本語教育には興味があるけど、自分には日本語教師の経験がない……と躊躇している方も、コーディネーターになれるチャンスはあるということです。

業務の具体的なやり方は都道府県の担当者からの説明があり、基本的には前述の統括コーディネーターの指示を受けながら、二人三脚で業務を進めていきます。

 

地域日本語教育コーディネーターになるメリット

地域の日本語教育事情をいち早くキャッチできる

地域日本語教育コーディネーターは、実際に市区町村の国際担当課等に聞き取り取材に行きます。その際、ネットでは得られないような地域の生の日本語教育事情を知ることができます

先進地視察や研修に参加して学ぶことができる

地域日本語教育実践プログラムの事業内容には「先進地視察」があります。また、地域日本語教育コーディネーター研修も開催されています。こういった学びの機会は事業予算に組み込まれているので、地域日本語教育コーディネーターは無料で参加することができます。

調査や会議などで報酬がもらえる

前述の聞き取り調査や調整会議の参加、日本語講座の開催準備などには定額報酬があります。聞き取り調査の実施回数等にもよりますが、1年で数万~10万円程度の報酬になります(開催地域によって異なります)

単価報酬の詳細については、都道府県の国際担当課へお問い合わせください。

日本語教育関係者としての実績になる

地域日本語教育コーディネーターは、拝命される人数に限りがあります。業務自体は決して難しいものではありませんが、その経験は希少であると言えます。名刺やSNSなどで「〇〇年度地域日本語教育コーディネーター」と記載して関係者にアピールすることもできます。

地域の日本語教育には興味があるし、僕も挑戦してみたいな……!

地域日本語教育コーディネーターまとめ

今回は地域日本語教育コーディネーターの概要についてまとめました。日本語教育推進法が可決されたことに伴い、コーディネーターの活動は各地域に広がっていくことが予想されます。

みなさんのお住いの都道府県にも、日本語教育を必要とする人は必ずいます。

そういった声を可能な限り拾って、地域の日本語教育を実現できるように活動するのが地域日本語教育コーディネーターのお仕事です。

みなさんも仲間と一緒に地域の日本語教育を一緒に創り上げていきませんか?

また次回の記事でお会いしましょう!

 

みやざき

通信制大学で日本語教育を学び、2008年に日本語教育能力検定試験合格。国内の日本語学校で専任、5年のブランク後に非常勤講師→フリーランス。現在は地域日本語教育コーディネーター、Webライティング、コラム執筆等を受託しています。

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