ご訪問ありがとうございます。日本語教師のみやざきです。
昨今の雇用の不安定さには、多くの非常勤講師が頭を抱えていることと思います。
こんな時こそ、労働者としての権利は押さえておきたいものです。
私は現在、「給与所得」と「業務委託契約」による収入があります。
結論から言うと、仕事が「業務委託契約」の場合は原則として労働基準法の適用対象外です。つまり、労働者としての保護を受けることはできません。
※書面上は「業務委託契約」でも、特定の拘束時間がある場合などは「労働者性」が認められて労働基準法による保護を受けられる場合があります。詳しくは各法律事務所や労働基準監督署にお問い合わせください。
一方で、非常勤講師(年度契約)は労働者に該当するので有給休暇取得の対象となります。
今回は、非常勤講師の労働契約が「給与所得」の場合に知っておきたい権利をまとめました。
※各制度は今後変更される可能性がありますので、厚生労働省のHPの非正規雇用(有期・パート・派遣労働)等のページを随時ご確認ください。

有給休暇・無期雇用転換の対象になるケース
前述の通り、非常勤講師でも有給休暇が取得できます。そして、非常勤講師契約が年度更新(1年ごとの契約更新)の場合、6年目に無期雇用に転換申請ができます。詳しく見ていきましょう。
どれくらい働けば有給休暇を取得できる?
以下は厚生労働省のリーフレットから一部を引用しています。

この資料によると「週1シフトでも、継続勤務6か月目から有給取得権が発生する」ことがわかります。つまり、日本語学校や大学などの教育機関勤務の非常勤講師の場合、週1勤務以上勤務していれば有給が取得できるのです(労働基準監督署に電話で確認済みです)
私はこの資料を持参して、勤務先の日本語学校に掛け合ってみたところ、無事に有給休暇を取得することができました。この厚生労働省のリーフレットは2枚だけなので、ぜひこちらのコピーを持参し、勤務先に掛け合ってみてください。
「無期転換ルール」って何?
以下に、厚生労働省の有期雇用契約者の無期転換ポータルサイトの一部を引用します。
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つまり、毎年更新する契約であれば「6年目に無期転換を申請できる」のです。そして、この権利を雇用主側が断ることはできません。
ただし、いくつかの注意点があります。
①正社員になれるわけではない
②業務量や給与が約束されるわけではない
この権利はあくまで「契約更新手続きが不要になる」だけです。ですので、無期転換に切り替わったからといって、それ以前の仕事の量や給与が確約されるわけではありません。
ただし、「あなたとはあくまで年度契約。来年度の契約はありません」という事態は免れます。その点では、首の皮一枚つながっている状態と言えます。
私はこの権利についても、厚生労働省のリーフレット(4枚)をコピーして勤務先に掛け合いました。労働者の権利は、労働者が申請しないと適用されません。契約6年目で継続雇用を希望する方はぜひ申請してください。

自分の権利は自分で把握し、勤務先に根拠となる公的な資料を持参して権利を主張しましょう。きちんとした勤務先であれば、真摯に話を聞いてくれます。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
新型コロナウイルスにより、非常勤講師の出勤日が急になくなって給与が減ってしまったこと、ありませんか? 休業手当がもらえない場合「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」の対象になるケースがあります。以下、厚生労働省のリーフレットを引用します。
※最新情報については厚生労働省のHPの新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金のページをご確認ください。
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これによると、シフト制の非常勤講師等も制度の対象となることがわかります。

この制度について、詳しくみていきましょう。
対象期間・申請期限(令和3年4月~12月分は令和4年3月末まで受付)
令和3年4月~12月分にコロナウイルスの影響で雇用主側の事情で休業し、労働者に休業手当が支払われない場合には、以下の給付金の対象になる可能性があります。
令和3年4月~12月分の申請期限は令和4年3月末までとなっており、令和4年1月~3月分の申請期限は現時点では令和4年6月末となっています(延長の可能性もあります)

期間や期限は変更になる可能性があります。現時点の制度については厚生労働省のホームページをご確認ください(英語やその他言語のリーフレットもあります)
申請する書類が多いので手続きがやや煩雑になりますが、書類のほとんどが自分で準備できるものです。必要書類は、次の項目をご覧ください。
雇用主の金銭負担はなし&勤務先が協力的でなくても申請できる
この給付金は、雇用主側の金銭的負担は一切ありません。申請に必要な書類は以下のとおりです(厚生労働省ホームページ「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」より引用)

この中の(2)支給要件確認書 は、原則として事業主(雇用主)が作成しなければならないのですが、事業主がそれに応じない場合にも労働者側(雇われている人)から申請することができます。
以下は、厚生労働省ホームページ内にある「給付金の対象となる「休業」についてお知らせします。(令和2年10月30日に公表したリーフレット)」からの引用です。
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書類を作成・準備するのは少し手間がかかるかもしれませんが、自ら申請しなければ補償を受けることはできません。申請期限までに、自分でできる手続きや準備を少しずつでも進めていきましょう。

私も現在、勤務校に「支給要件確認書」の作成を依頼しました。自分が受けるべき補償は、自分で掛け合って手続きしましょう。
まとめ 権利は自分で守ろう(行動しないと権利は失効する)
今回は「給与所得」収入を得ている非常勤講師等が活用できる権利についてまとめました。
これらの権利は労働者自身が実際に行動(雇用主に申請)しなければ失効してしまいます。
先の見えにくい今だからこそ、自分の権利を把握して行動しましょう。
それではまた、次回の記事でお会いしましょう!
