「日本語学校 求人」で検索すると、多くの日本語学校がヒットします。どの学校で自分が勤務すべきか、比べて迷うこともありますよね。
求人票に書いてあるのは「給与」や「勤務日数」「資格」などの情報のみで、場合によっては待遇のみで選んでしまうこともあるかもしれません。
でも、できることなら良い環境の職場で仕事をしたいですよね。

求人だけではわからないことは、面接で徹底的に確認しましょう!
応募前にGoogleマップで外観を確認
この学校に応募してみようかな?と思ったら、まずはGoogleマップでその学校の外観や周辺の状況を確認してみてください。
10年以上前のことですが、ネットで日本語教師募集を知り、アポイントをとって面接にいってみると、衝撃を受けるほど古びた外観の日本語学校に出くわしたことがあります。
率直な印象として、そこで働くイメージが全く湧きませんでした……。
もちろん、見た目がすべてではないのですが、その付近は人通りもなく、昼間にもかかわらず薄暗い場所でした(ちなみにその学校にはご縁がなく不採用でした)。
勤務先の外観はもちろん、周囲の様子もGoogleマップである程度確認できます。
面接直前に「イメージと違う……」「こんなところにあるとは……」というマイナスの印象を持たないためにも、事前に建物や周辺の状況を確認しておきましょう。
日本語学校の設備でわかること
日本語学校の設立にあたっては、法務省の定めた「日本語教育機関の運営に関する基準」を遵守しなければなりません。
しかし、実際には基準の一部である「設備」の項目を満たしていな学校もあります。
設立基準を満たしていない学校は運営に余裕がなく、そこで働く教師への「働きやすさへの配慮」が欠けていることが予想されます。

トイレの数
みなさんの働いている(これから働くかもしれない)日本語学校は、教員数・学生数に対して、トイレの数は十分でしょうか。
校舎に教室,教員室,事務室,図書室,保健室その他必要な附帯施設が 設けられていること。 → 「その他必要な附帯施設」としての便所には,在籍する生徒数に応じた数の 大便器及び小便器を備えるものとし,男女に均等に割り振ることが望ましい。
http://www.moj.go.jp/content/001301770.pdf 法務省HP 日本語教育機関の告示基準解釈指針 より
私の以前の勤務校は、学生数・約200人(午前と午後のクラスで100名ずつ)にもかかわらず、男女兼用のトイレが1つあるだけでした・・・
教師も来客も、その1つのトイレを使うんです。トイレの数が全く足りていませんよね。
トイレの数を十分に確保するというのは、学校生活には最低限必要なことです。基準を満たしていないと思われる場合、その教育機関の体制を疑ってみたほうがいいかもしれません。
各教室の机とイスの数
日本語学校では、1クラスごとの人数も決められています。
日本語の授業は,同時に授業を受ける生徒数を20人以下として行うこと。
http://www.moj.go.jp/content/001265460.pdf 法務省HP 日本語教育機関の告示基準(PDF)より
可能であれば教室も見学しましょう。
机とイスが21セット以上ある場合、1クラスの学生数が基準をオーバーしている可能性が高いです(専門学校は、この限りではありません)。
このような学校では、想定を超えた人数のクラスを任される可能性があります。1クラスの人数が多すぎると、授業で学生に対応しきれないなど、クラス運営に悩むことになるかもしれません。

人数が多すぎると、目が行き届かず授業で苦労するかも……
図書室の充実度
日本語学校の設立にあたっては、図書室を整備することも告示基準で触れられています。
校舎に教室,教員室,事務室,図書室,保健室その他必要な附帯施設が 設けられていること。 → 「その他必要な附帯施設」としての便所には,在籍する生徒数に応じた数の 大便器及び小便器を備えるものとし,男女に均等に割り振ることが望ましい。
http://www.moj.go.jp/content/001301770.pdf 法務省HP 日本語教育機関の告示基準解釈指針 より
以前の勤務校では、図書室と書かれた部屋がただの備品置き場(=倉庫)になっていました・・・
一方、現在の勤務校では、新しく出版された教材テキストが年に何度も追加されています。
図書室や本棚の充実度を見ると、その学校が新しい教え方に積極的かどうか、ある程度推測できます。
日本語教師の勤務状況から分かること
専任講師の平均年齢と勤続年数
面接の際に、専任の先生方の平均年齢(もしくはどんな世代の先生がいるか)と平均勤続年数を聞いてみましょう。
日本語学校設立から10年以上経っているのに、専任講師の平均年齢が「30歳以下」「全員が経験5年未満」、かつ求人に「〇歳未満の方」と書いてあったら要注意です。
その日本語学校は、経験の浅い教師を使い捨てにしている可能性が高いです。
職員室の広さと整然さ
専任講師として働く場合、職員室の広さ=職場環境になります。日常的に行き来する通路やデスク周りなどが明らかに狭い職場は、あまりよい環境とは言えません。
また、職員室のデスク周りが整然としていない場合、業務過多で整理整頓が行き届いていないことが考えられます。
面接時にさりげなく、職員室の様子もチェックさせてもらいましょう。
日本語教員ではない事務員がいるかどうか
その日本語学校に日本語教員ではない事務職員がいるかを確認しましょう。専任で働く場合、事務職員がいなければ事務全般を兼務することになります(実際に経験しましたが、かなりの業務量です)
そうでなくても専任講師の場合、授業以外の業務が想像以上に多いです。可能であれば、事務職員のいる日本語学校を選ぶことをおすすめします。
日本語学校の経営方針からわかること
家族経営かどうか
日本語学校に限らないのですが、求人情報に「アットホームな職場」といった記載がある場合は要注意です。
この「アットホーム」はよい意味ではなく、「面倒なこと・都合が悪いことはアットホームな雰囲気でごまかします」という場合が多いです。
さらに、家族経営の場合は校長・経理・教務主任などが身内同士なので、改善すべき点・労働基準法に抵触している点が「うやむや」になり、労働環境が一向によくならないことも多々あります。
好待遇でのスカウトでもない限り、家族経営の日本語学校は避けたほうがいいかもしれません。
経営母体が教育機関かどうか
経営母体が教育機関(学校法人など)であるメリットは2つあります。
- 学校運営の基本的なノウハウや方針が決まっている
- 経営が日本語学校の収益に依存していない
経営母体が教育機関の日本語学校は、日本語学校単体で経営している場合よりも比較的経営が安定していると言えます(経営が安定していると、教師陣への業務のしわ寄せも少ないです)。
日本語学校での勤務に不慣れで、勤務先を複数校から選べる状況であれば、経営母体が教育機関である日本語学校をおすすめします。
日本語学校の求人だけではわからないことは面接で確認
求人情報にわざわざ職場のマイナス面を書くところはありません。どの勤務校も一長一短ありますが、以上のように面接前・面接時に確認できることはたくさんあります。
その学校が安心して勤務できる職場なのかを、事前に見極めておきたいですね。
また次回の記事でお会いしましょう!
