日本語教師は需要が増える?「日本語教育推進法」基本法案第三章・第二~五節から考えてみた

日本語教師
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ご訪問ありがとうございます。

日本語教師のみやざきです。

  

前回の記事では

日本語教育推進法の第三章第一節について

国内で日本語教育を必要とする人に

スポットを当てて解説しました。

 

国内で日本語教育を

必要とする人には

さまざまな人がいましたね!

  

今回は、第二節~第五節で触れられている

「海外で日本語を学びたい人たち」
「日本語教育の質の維持・向上」
「日本語教育に関するデータや情報の整理」
「地方公共団体に期待される役割」

 

について解説します。


【参考】公益社団法人日本語教育学会 日 本 語 教 育 の 推 進 に 関 す る 法 律 案
http://www.nkg.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/180529_kihonhoan.pdf

  

日本語教育の周辺事情について見ていきましょう。

 

 

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外国で日本語を学びたい人への学習のチャンスを増やす【第二節】

国際交流基金の2015年度のデータによると、

海外における日本語学習者数は 3,655,024 人

となっています。


(※最新データは2018年度分で、2019年度中にデータを公表するとのことです)

  

しかし、この数はあくまでも

「語学学校として日本語を教えている学校や教育機関」の在籍者数であり、

その他の機関や独学で日本語を学んでいる人は数に入っていません

  

現在は、SNSやスカイプ、Youtubeなどで

日本語を学んでいる学習者もいます。

日本のテレビドラマなども人気の学習コンテンツです。

  

日本国内のケースと同じく、様々な理由で

語学学校で日本語を学べない人たちが海外にも相当数いることが推測されます

  

どんな人たちが海外で日本語を学んでいるのか

日本語教育推進法の第二節の記述を見ていきましょう!

  

日本の大学等へ進学希望者、就職希望者の日本語支援を行う

海外には「日本の大学や専門学校にしたい」と

考えている日本語学習者がいます。

  

その理由はさまざまですが、

国内の日本語学校の日本語学習者からは

日本で進学を目指す理由について

以下のような声が多く聞かれます。

 

母国の就職活動が年々厳しくなっているから
→人口増加が原因で競争が激化しているケースが多い

 
いったん母国で就職したけど、待遇面がよくなかったから
→大学を卒業して就職後、自活ができない
  

日本語ができれば、母国での就職が有利になるから
→日系企業が多い国などでは日本語能力が待遇アップにつながる

  

しかし、現地の語学学校に在籍できないケースもあります。

そういった海外の人たちのためにも

日本へ進学・就職を希望する

海外の日本語学習者の

日本語教育を支援するという方案

第二節の冒頭に打ち出しています。 

 

海外での日本語教育は

日本への理解や

日本での就職を円滑にするため

日本語教育の環境を整備しよう

というものです。

 

法案の中には

インターネットによる教材の開発や提供」も

視野に入れているという記述があるため

今後は国をあげての日本語教育の

ICT化も期待できるかもしれません

    

ここまで読んで、「なぜそこまでするの?」と

思われる方もいらっしゃるかもしれません。

こちらのツイートを見てください

  

 

行政による教育制度のおかげで

現地では「外国人」である日本人の方が

手に職をつけることができたという話です。

 

国籍やルーツにかかわらず、

誰もが現地の教育制度を

受けられるようになれば

安心して生活できそうですね!

  

今後は日本でも

日本語教育を必要とする人を

社会全体で支援することが

求められるようになっていきます。

 

在留邦人の子ども等の日本語教育を整備する

在留邦人、とはどのようなケースがあるのでしょうか。

外務省によると、在留邦人は「長期滞在者」「永住者」を指し

海外に3カ月以上滞在していて日本国籍を有している人のことです。

※ただし、日本人の子であっても
日本国籍を有していない場合は該当しません。

 

海外への勤務・滞在等に子どもを連れていく

といったケースも少なくありません。

では、その子どもたちの日本語教育は

親からの継承だけで十分なのでしょうか

  

子どもたちが将来日本で生活する場合や

日本の親族・友人とコミュニケーションを

とるシーンなどにおいて

日本語能力が十分でない可能性があります

  

今後は、海外で暮らす子どもたちが

日本語でのコミュニケーションをとれる教育を

国が支援していくことが求められます。

  

日本語を教える人の日本語教育の質を維持・向上する【第三節】

第三節は、教育機関等での日本語教育の質の維持・向上についてです。

日本語教育機関って、どんなもの・・・?

  

日本語教育機関について

国は、日本語教育機関(大学の留学生別科日本語学校など

教育水準の維持・向上のための施策を講ずるように、との文言があります。

しかし、具体的な記述はなく、非常にあっさり書かれています

 

現状、日本語教育の教育水準は

教育機関によって差があります。

今後は政府がなんらかの教育基準を

定めるのでしょうか…。

  

日本語教育機関で働く日本語教師について

国内外の日本語教育機関に日本語教師として勤務している人

教師養成や研修体制を整備しようという内容です。

現在、日本語教師の有資格者として認められるには

 

  • 大学もしくは大学院(短大は不可)で
    日本語教育に関する教育課程を修了している
  • 公益財団法人日本国際教育支援協会が実施する
    日本語教育能力検定試験に合格している
  • 四大卒(学士を有する)で日本語教育に関する研修で
    適当と認められる 420単位時間以上を修了している
  • その他、上記と同等以上の能力が認められる

 

のいずれかを満たすことが条件ですが、

教師養成や研修体制については

教育機関等によってばらつきがあるのが現状です

 

今後は、国が定めた新たな資格基準が

できるかもしれません。

 

また、海外での日本語教育の水準を向上するため、

各国での外国人日本語教師の育成支援にも努めると書かれています。

 

日本人の英語教師がいるように

国内外には非ネイティブの

日本語教師がたくさんいます。

みんなでスキルアップしたいですね!

  

教育内容と教材について

日本語教育の教育課程、指導方法、教材なども

教育機関や教師によってまちまちです。

 

一方、公立学校(小中学校)の教育は

文部科学省の学習指導要領で一定の質が

保たれています。

  

今後は、日本語教育にも

学習指導要領ができるかも・・・?

 

日本語能力の評価について

日本語能力の評価として代表的なものに

日本語能力試験」がありますが

この試験で日本語学習者の日本語能力の

全てが測れるわけではありません

  

例えば、日本語学校での小テストや定期テストの成績がいいのに

学習したはずの言葉や文法が会話や作文で使えない人もいます

  

また、読み書きが苦手でも会話能力に長けている人

漢字が苦手だけど読解問題の要旨は掴めているという人もいます。

 

日本語能力を適切に評価できるようにしよう

ということがこの部分では書かれています。

 

さまざまな日本語学習者の日本語を

どのように評価するかが今後の課題ですね!

  

日本語教育に関する調査研究や情報を整備・整理する【第四節】

日本語教育に関する調査研究を整備する

日本語教育に関する調査研究について

法案の中では以下の4つに触れられています。

  

  • ・日本語教育の実態の把握
    (学習者数や学習環境、地域など)
  • 効果的な日本語教育の開発
    (ある指導方法にどれくらい効果があるか、など)
  • ・日本語能力の適切な評価
  • ・海外の日本語教育の情報

  

これらの調査研究等に必要な施策を講ずると書かれています。

 

日本語教育の実態を正確に把握することが

現状改善の第一歩になると言えるでしょう。

  

日本語教育に関する情報を誰もが閲覧できるようにする

日本語教育を希望する際に、日本語学習者がアクセスできる

日本語教育総合情報サイトを国が作ろう、というものです

さらに、日本語教育に関する相談や、日本語教育に必要な情報等

日本語学習者が得られるようにしようという内容です。

  

国が運営するサイトが日本語教育の

相談や情報の窓口になれば、

日本語学習者も安心ですね!

  

地方公共団体は日本語教育を提供する努力を【第五節】

地方公共団体(都道府県や市区町村など)

第一節から第四節までの内容をふまえて地域の状況に応じた

日本語教育の推進に向けて努力する、という内容です。

  

どこに住んでいても日本語教育が受けられるようになれば、

日本語に不安がある人も安心して生活できるようになります!

 

まとめ

今回は日本語教育推進法の第二節から第五節の法案に触れ、

日本語教育に期待されることについて解説しました。

これからは国、企業、自治体などが責任をもって

日本語教育を推進することが求められる社会になります

 

課題は多いですが、まずはそれぞれのケースと

真摯に向き合い、改善方法を模索することが

よりよい地域社会の第一歩なのではないでしょうか。

  

また次回の記事でお会いしましょう!

 

みやざき

通信制大学で日本語教育を学び、2008年に日本語教育能力検定試験合格。国内の日本語学校で専任、5年のブランク後に非常勤講師→フリーランス。現在は地域日本語教育コーディネーター、Webライティング、コラム執筆等を受託しています。

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