ご訪問ありがとうございます。日本語教師のみやざき(@jinro_miyazaki)です。
前回はカナダの大学で日本語教師として勤務するHinakoさんに「日本語教師×学生のラポール形成のコツ」を伺い、記事にしました。
今回も引き続きHinakoさんに「学生同士のラポール形成」について伺ったことをまとめます。

Hinakoさん、改めてよろしくお願いします!

こちらこそ、よろしくお願いします!
※ラポールとは「信頼関係」のことです。
Hinakoさんの略歴をおさらい↓↓
2010年からカナダの大学で日本語講師→2020年3月完全オンライン移行。8月まで100回ぐらいZoomクラス。年内も完全オンライン授業。(Hinakoさんのnoteより)
前回のインタビュー記事はこちら↓↓
学生同士のラポール形成をブレイクアウトルームで支援
オンライン授業でZoomを使用する場合、Zoomの特徴的な機能である「ブレイクアウトルーム」を活用しない手はありません。

ブレイクアウトルームでは話し合う部屋を分けることができるので、学生同士のオンライン上での交流やワークが深まりそうですね!

学生からは「ブレイクアウトルームが楽しい」というフィードバックがものすごく多かったです。
オンライン授業での具体的なブレイクアウトルーム活用方法を見ていきましょう。
ブレイクアウトルームホッピング→ルーム移動して仲間を探す
ブレイクアウトルームを授業で活用して「仲間」を探すワークです。
学生を各ブレイクアウトルームに分けて、別の学生が各部屋を訪れて「〇〇さんは××が好きですか」などの質問をします。「私も好きです」などの共感の回答が得られることでラポールが形成されます。

初級の学習者でも簡単な文型や課題を用いて、すぐに活動ができそうですね。
ブレイクアウトルームの活用(休憩時間にZoom開放)
授業内だけでなく、休憩時間にも学生同士のラポール形成に配慮し、Zoomを開放します。Hinakoさんはこの取り組みを「ザ・ブレイクアウトルームブレイク」と名付けました。
これは対面授業における休憩時間を、オンライン上に設ける取り組みです。
「ザ・ブレイクアウトルームブレイク」では、一人でいたい人や講師に質問したい人はメインルームに残り、友達と絡みたい人は一緒にブレイクアウトルームに移動するというものです。

休憩時間に気兼ねなく交流ができるような配慮も、ラポール形成には必要だと考えました。
2人きりのペアワークを怖がる人もいる
ブレイクアウトルームでペア練習を促す時に注意したいのが「2人きりのペアワークを怖がる人がいる」ということです。
もう一つ、気を付けていることは「二人だけのペアー」を作らないということ。私は対面の授業でペアーワークばかりさせていたので、ペアーが当たり前だと思っていたんですね。でも学生さんから「知らない人と二人は怖い」という声をきいたとき、はっとしました。
Hinakoさんのnote (4)ZOOMクラスでの、ラポール形成の強化はマスト。より

たしかに、知らない人といきなり2人ペアにされたら怖いかもしれませんね……。

私はペア練習は2人ではなく3人でさせる、カメラオフでこっそり見るなどしています。
一方で、ブレイクアウトルームは「学生だけの神聖な空間」であることを覚えておかないといけません。先生はあまり介入しないほうがいいと思います。
教員・講師はブレイクアウトルームの活用において、学生の主体性を尊重しつつ、安全な環境を提供する配慮を怠らないよう留意したいものですね。
学生同士の信頼関係を多様なツールでつくる
HinakoさんはZoomのブレイクアウトルームだけでなく、様々なツールを使って学生間でのラポール形成を試みたそうです。

実際に使用したツールの一部をご紹介します。
・Filppityでビンゴゲームを実施
・4人くらいでグループワーク(Wordwall/Jamboard/Padletを活用)
・プロジェクト(ともだちのFlipgrid動画やPadletを見る)
・SLIDOで匿名での質問(クラスメートの疑問を共有&Likeが押せる)

いろんなツールで交流できる仕組みを準備しておけば、クラスや学生に合ったツールが見つかりそうですね!
課外活動や学生TAを柔軟に取り入れる
Hinakoさんは課外活動や先輩の留学生TA(ティーチングアシスタント)を介して、日本語学習をサポートする仕組みを取り入れていったそうです。

サークル活動や先輩TAとの会話で日本語を話す場があることで、日本語学習における不安や疑問解消にもなりそうですね。

はい。具体的には以下のような活動を試みています。
・JCC 最初の1時間は英語、後の1時間は日本語(週1開催)
・JBC 日本語ブッククラブ(レベル別に不定期で実施)
・学生にTAをしてもらう(先生と学生のクッションになる)
教師が授業内や教室内で全てを解決しようとするのではなく、教室外のサークルや人物などに学生を橋渡しするのも教師の重要な役割なのかもしれません。
まとめ 学生を信頼し、教師が介入しすぎない
今回はオンライン授業における学生同士のラポール形成について、カナダの大学でオンライン授業を展開するHinakoさんの取り組みをインタビューしました。
教師は何かと率先して手を差し伸べてしまいがちですが、私たちの役割はオンライン上で安全に学べる学習環境を整備し、学生の自主性・主体性を信じ、必要以上に介入しないことなのかもしれません。

Hinakoさん、2回にわたってのインタビューありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました!
オンライン授業で得た学びや気づきを今後の授業運営に生かし、学生・学習者の学びをより一層促進できる「コロナ後」を模索していきたいですね。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!
