日本語教師がACTFL-OPIテスターになるには?資格と今後の活用方法は?

日本語教師
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ご訪問ありがとうございます。日本語教師のみやざきです。

みなさんはACTFL-OPI (以下OPI)をご存じですか?

OPIとは、インタビューでACTFLの基準に沿って日本語の口頭運用能力を判定するものです。

 

一般的にはまだまだ認知度が低いOPIですが

平成30年度日本語教育能力検定試験の【試験3】の【問題8】は、5問とも全てOPIに関する問題でした。

【試験3】では、熟練した日本語教員の現場対応能力を測る問題が出題されます。このことから、教育現場におけるOPIへの注目度が以前より向上していると言えます。

OPIテスター資格者になるには、どうすればいいのでしょうか?

 

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ACTFL-OPI って? どんな資格?

ACTFL(アクトフル)ってなんですか?OPI(オーピーアイ)って…?

 

日本語OPI研究会のホームページを引用します↓(長いです)

Q:「ACTFL-OPI(アクトフル オーピーアイ)」って何ですか?

A:「ACTFL(アクトフル)」というのは、The American Council on the Teaching of Foreign Languages(全米外国語教育協会)の略称で、外国語教育に携わっている人々約1万人が会員になっている学会です。OPIは、ACTFLによって開発された汎言語的に使える会話能力テストです。「OPI」とは、”oral proficiency interview(オーラル・プロフィシェンシー・インタビュー)”の頭文字です。ですから、簡単に言うと、「ACTFL-OPI」というのは、アクトフルが開発した外国語の口頭運用能力を測定するためのインタビューテストのことです

http://www.opi.jp/nyumon/nani.html  日本語OPI研究会より

 

※ACTFL-OPI は日本語だけでなく、英語をはじめ、ポルトガル語、フランス語、韓国語、アラビア語など様々な言語の口頭運用能力の測定に対応しています。

<br>

なるほど…。でもどうやって日本語の会話能力を判定するんですか?

 

約30分のインタビューで10段階のレベルに分ける

テスターは原則、30分以内のインタビューを行い、被験者(レベル判定のためのインタビューを受ける人)の口頭運用能力を判定します

判定レベルは超級、上級、中級、初級の4つ。

これらのレベルは、語彙、流暢さ、内容、場面、段落形成など、さまざまな評価基準をもとに判定されます

(レベル高)

超級
上級の上
上級の中
上級の下
中級の上
中級の中
中級の下
初級の上
初級の中
初級の下


(レベル低)

※超級の上には「卓越級」というレベルが存在しますが、日本語OPI判定では用いません。

各レベル(卓越級/超級/上級/中級/初級 )の音声サンプルが下記ホームページで聞けますので、興味のある方はぜひ聴いてみてください。

ACTFLホームページ(スピーキングについて)
https://www.actfl.org/publications/guidelines-and-manuals/actfl-proficiency-guidelines-2012/japanese/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0

  

OPIテスターになるには? 必要な期間と費用

ACTFL-OPI 試験官(テスター)になるには、試験官養成講座を受講しなければなりません。この講座は毎年、全国の主要都市で年に2回を目安に開催されています。

  • 講座の費用は 194,000円+税 (20万円以上)
  • 遠方から参加の場合は、宿泊・交通費等も別途かかる
  • 連続4日間( 9:30〜18:30 )の講座を修了
  • 4年に1度、資格更新がある(別途有料)

 

講座の詳細についてはこちら↓(※2019度分の募集は既に終了しています)

株式会社アルク
アルクは、出版、研修、eラーニング、デジタルコンテンツなど幅広いサービス業態で、すべての学習者のニーズに応える英語学習・語学教育の総合カンパニーです。

また、講座を受講するだけでは、テスター資格は付与されません。講座修了後にやらなければならないことは、以下の通りです(※長いです)。

  • インタビュー被験者を各級4人程度、計16~20人程度探す
  • 被験者にOPIの趣旨を理解してもらい、場所や時間を確保する
  • 練習ラウンド→インタビュー音声を各レベル2本ずつ、計8本を評価・提出 (ワークショップ受講後90日以内)
  • 練習ラウンドのフィードバック、本番ステージへのアドバイスを受ける
  • 認定ラウンド→インタビュー音声を各レベル2本ずつ、計8本を評価 ・提出(練習ラウンドのフィードバックから120日以内)

 ↓↓↓

レベル判定が評価基準に沿っていると認められれば、テスター資格認定

判定作業はもちろんのこと上記の太文字部分が想像以上に大変です

インタビューに協力してくれる日本語非母語話者は自力で探さなくてはなりません。

上級以上の被験者とコンタクトをとるために、留学生の講義を担当している某大学の教授にアポイントをとり、OPIの趣旨をお話しした上で被験者を紹介していただきました

また、インタビューの場所については静かな場所を確保する必要があるため、勤務校に相談し、勤務校の空き教室でインタビューをさせていただきました

自分一人では、テスター資格の取得は不可能だったと思います……。

 

OPIテスター資格取得はこんな人におすすめ

取得するのに時間と費用がかかるOPIですが、どんな人に向いている資格なのでしょうか。

学生をペーパーテストだけで判断したくない人

教育機関で勤務していると、学校の小テストや定期テストだけで学生を判断しがちです。しかし、OPIテスター資格を取得すると、学生を別の評価軸で見ることができます

「あの学生はテストの成績がいつも悪くて…」と評価されていても、その学生のOPIレベルがわかれば「あの学生は実はかなり話せますよ」とフォローできます。

また、口頭能力がペーパーテスト相応ではない学生に早く気づき、対策を練ることもできます。

OPIテスターになることで視野が広がり、学習者の多様性を認める余裕も出てきます。

空いた時間でスキルアップしたい人

日本語学校や大学の非常勤は、毎期のシフトが不安定です。もしシフトが想定外に減ってしまったら、今後のために何をすればいいでしょうか。

私はシフトが減った時に「今だからこそ他の人が出来ないスキルアップができるのではないか?」と思い、ずっと興味のあったOPIテスター資格取得に踏み切りました

OPIテスターの資格取得は、気合いを入れて時間を確保しないとかなり厳しいです実際、同じ講座を受けた方の中にはインタビュー音声の確保に思うように時間がとれず、脱落してしまった方もいらっしゃいます。

費用はそれなりにかかりますが、空いた時間を有効活用してスキルアップしたいと考える方にはおすすめと言えます。

OPIテスター有資格者とお近づきになりたい人

私が日本語教育について学んでいた時に、お世話になった恩師がいます。その恩師がOPIテスターであることを知り、OPIに興味を持ちました。

OPIテスターを取得すれば、OPI関係学会や研究会などで憧れの日本語教育関係者や日本語教材テキストの著者と意見交換をする機会もあります。

日本語OPI研究会に参加したことで、「できる日本語」の著者の嶋田和子先生とお話をする機会もありました。

資格取得にチャレンジして、いろんなチャンスを掴みたいですね。

 

OPI資格取得で収入は増える?仕事への活用方法は?

OPIテスター資格を取得すると、収入は増えるのでしょうか。また、収入以外にはどんなメリットがあるのでしょうか。

授業やレッスンでの収入アップは難しい

率直に言って、OPIのテスター資格は収入には直結しません。そもそも、このインタビューテストの対価として金銭をいただくことは禁止されています(誓約書に記載されています)。

しかし、OPIテスターになったことで自分に自信がつき、授業内容も以前より実用的なものを考えられるようになりました

教師力アップという意味では、この資格をとってよかったと言えます。

 

取材力やインタビュー実績を他分野に生かせることも

日本語教育以外の分野でOPIテスター資格を生かすこともできます

現在、日本語を教える仕事以外にWebライター地域日本語教育コーディネーターをしていますが、取材記事や自治体への聞き取り調査でOPIで培ったテクニックが役立っています。

OPIのワークショップでは被験者に質問を与えるテクニックを養成するので、インタビューが必要な業務全般にこのノウハウを生かせると言えます。

 

おわりに

今回はACTFL-OPIについて、テスター資格取得までの流れやメリットなどを紹介しました。

OPI試験官(テスター)養成ワークショップは年々人気が高まり、すぐに枠が埋まってしまう状況です。

日本語教育推進法が公布・施行され、今後さまざまな分野において日本語教育支援が求められます。 それに伴い、ACTFL-OPI が役立つ場面はさらに増えていくと考えられます

日本語教師のスキルアップに迷った時には、自分への投資としてOPIテスター資格にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

また次回の記事でお会いしましょう!

 

みやざき

通信制大学で日本語教育を学び、2008年に日本語教育能力検定試験合格。国内の日本語学校で専任、5年のブランク後に非常勤講師→フリーランス。現在は地域日本語教育コーディネーター、Webライティング、コラム執筆等を受託しています。

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